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残された人々 [所長の部屋]

第2しもごうでは新聞をとっています。メンバーのみんなにもなかなか好評です。

その新聞に、要注目の連載記事がありました。タイトルは『残された人々』。震災による原子力発電所の事故とその影響について様々な視点から検証した『プロメテウスの罠』というシリーズの一環で、このセクションでは20回にわたって南相馬市で避難できなかった障害者とその安否確認を巡る動きが丁寧に描かれています。

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障がいがあるゆえに情報がうまく受け取れない、SOSをうまく発信できない。避難所で過ごすことができない。障害者がいる世帯だと近隣に知られたくないから要援護者名簿への掲載を了解できない。 被災状況では支援者がいないから籠るしかない。情報も、物資も、支援もなく孤立する障害者とその世帯の状況を読んでいると、他人事ではない怖さを感じます。と同時に、その状況を打開しようと誰かの指示ではなく自分の判断で規範を超えていく支援者や役人の姿も描かれていて、自分にもこれができるだろうか、と改めて問うてみたりもします。

南相馬市は同意方式の要援護者名簿ではなく手帳取得者の情報そのものを外部に開示したことで知られています。個人情報保護が重んじられる中、秘匿性の高い究極の個人情報を開示することは行政としては大きな決断だったはずです。ゴーサインを出した担当者は懲戒免職を覚悟していたと取材に答えています。

要援護者の支援の取り組みを進めるにあたって、個人情報保護法が壁になるとよく言われます。確かにそういう側面はありますが、個人情報を保護するのは個人の利益のためなのだから、命を守る、安否を確かめるという、より根本的に個人の利益となる行為を妨げる理由にはならないはずだと思います。“なにかあったらだれがどう責任を取るのか”という問いもありますが、救われるべき命が救われなかった時には誰にもどのようにも責任など取る術もありません。結局のところ、個人の決断こそがいざというときに求められるのだとつくづく感じました。

昨年7月に南相馬に行ったときに、この開示情報に基づく安否確認に参加しました。その時にお世話になった現地のNPOの理事長も今回のシリーズでキーパーソンとして取り上げられています。窮地でハラをくくった人間の強さを見せてくれた方。なにかあった時に、あんなふうにハラをくくれるだろうか。

くくらなきゃ。 


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