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地域作業所とは [所長の部屋]

梅雨明けの便りはありませんが、暑い日が続いております。

わたくし横浜市作業所連絡会の研究部会というところに所属しています。研究部会というのは市の予算編成に向けた現場からの要求とか、いわゆる政策提言みたいなのを取りまとめる部会です。

で、昨日のこと、その研究部会のメンバーと横浜市役所健康福祉局障害福祉部障害企画課のみなさんと意見交換の場に出席してきました。こちらは連絡会会長含め5名、先方は次期障害者プランの策定に中心的にかかわっている方々(係長1名、職員2名)、市社協の障害者支援センターの担当職員さんも同席してくださいました。

先日の記事でも描きましたが、 障害者プランは来年度から6年間の横浜の障害福祉施策をデザインする、たいへん重要な行政計画です。いまはその素案を練っているところ。昨日はそのプランのなかで日中活動の支援、とりわけ小規模な事業所についてどう位置づけるかについての話でした。

席上で、市の職員さんから“日中支援の施設/事業全体の中で、小規模事業所、特に地域活動支援センター作業所型の役割や存在意義はなんなのか”という問いかけがありました。

地域活動支援センター作業所型の特色は①小規模(最低定員10名)で事業を実施できること②利用にあたって区分認定や支給決定などの行政手続きが不要であること③補助金の算定基準が日々の利用実績ではなく登録人数であること、であると思います。

まず、①について。支援という営みはできる限り個別化するべきという原則に立っています。ひとりひとりの利用者と丁寧にかかわることためには小規模であることが望ましいというのは現場のだれもが持っている実感ではないでしょうか。また、ハードとしても30人とか50人とかが利用する施設となるとどうしてもでーんとした建物になり、『街の中にさりげなくある』という感じは難しくなります。家みたいだったり、お店みたいだったり、サロンみたいだったり、アトリエみたいだったり、小規模であるからこそ街の中にあって独自性が発揮できるのだと思います。

そして②について。障害福祉領域での地域ニーズは多様化の一途をたどっていて、そのなかには往々にしてそもそも『福祉』とか『手続き』とかいうプロセスになじまない(というか、そういうことになじめないから孤立している)ケースがあります。そのような地域ニーズに対して“まず動く”ということが可能なのはこの自由度の高さゆえです。

さらに③について。②に述べたようなケースに求められる支援は必ずしも『毎日通ってなにかをする』ということを実現することではありません。もちろんそれが目標となることは充分にあり得ますが、むしろ“体や気持ちの不調で安定的な生活リズムを確立できない”というような状況に寄り添い、少しずつかかわることが大切だったりします。状況に合わせて少しずつ丁寧に柔軟にかかわって、結果的にそれが『今日は通って(通えて)いない』としてもそれはきちんとした支援なのであって、それを可能にしているのがこの包括払いというシステムなのです。

以上まとめると、こじんまりといろんなことをしながらいろんなニーズにフレキシブルに応えることが地域活動支援センター作業所型の存在意義なのでしょう。そしてこのことは今の地域活動支援センター作業所型というサービス類型ができるずっと前、地域作業所が生まれ育ってきた時から変わっていないのだと思います。そして、その運営に障害者支援センターがコミットしているというのもサービスの質を担保する上で重要な点です。 

地域活動支援センター作業所型の存在意義とか独自性とかっていうのは別に今ここでポッと考えつく様なことではなく、地域作業所が長い歴史のなかで大切に育ててきたこと。それを改めて確認する機会になった今回の懇談、とっても有意義でした。

ただし、市の職員が地活センター作業所型の存在意義を問いかけたとき、なんとなくその裏に“なるべくなら市のお金を使う地活センターじゃなくて国費でできる個別給付(生活介護など)をやってよね”っていうニュアンスが感じ取れて、ちょっとアレでしたが。

 

 


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