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新聞記事 [時事]

週末の新聞に、『障害者施設で職員が暴行』という記事がありました。

まずは、あってはならないことだと思います。職員は利用者の安全と権利を守るために存在するのだから。


そのうえで、なんだかよくわからないな~と思うこと。

『女性が動かないように、腕と首の後ろを両手で押さえた』という情景描写、それに“女性が繰り返し同じことを言っているので後ろから押さえ込んだ”という当事者の説明。

この記述では、どうにもイメージがわきません。記者は『こういう場面で、こういうことが起こったんだな』っていう風にきちんと状況を頭で描いたうえでこの文章を書いたんでしょうか。なんとなく、判然としないことが多いので、ちょっとそれらについて。

もちろん暴力的な対応などあっていいはずはありません
以下はそのうえで、の話ですが・・・

身体的な拘束を図らざるを得ない場面っていうのも、障害福祉の現場にはあります。自傷行為が著しくて網膜はく離で失明の危機がある、とか。あるいは興奮状態で椅子かなんかを振り回している、とか。ダッシュしてガラスに体当たり、とか。他害とか。たぶんそういう状況に対応している職員の行為を言葉で表現すれば『押さえる』っていうことになるでしょう。そして、その場面だけを切り取れば暴行という記事にもなります。

無論、今回のこの記事がそういう風にできていると言っているわけではありませんが、“本当になにが起こったのか”が見えていない人が記事を書いているように感じられるだけに、なんとなくスッキリしません。

それから、利用者20人に職員3~4人というと、わりあい小規模な施設。たとえば、職員が利用者と1対1で丁寧にかかわるだけの人的な、あるいは設備的な環境が整っていたのでしょうか。別室があり、職員一人がその利用者につきっきりになってもそのほかのプログラムをスムーズに進められるだけの人員配置があったのかなかったのか。そこいらへんを抜きにして、その場の状況や行為だけを取り上げても再発防止は難しいのではないかという気がします。
ウェブ版は要約されているようで、実際の紙面では“障害者施設は閉鎖的になりやすい”、“過去の調査では暴行や虐待を受けた障害者がそれを周りに伝えられずにいるという事象が少なくない”などに記述もありました。市の担当者のコメントとして『当該施設には厳しく指導していくし、市内の施設全体にも注意を喚起する』とも。
我々としても、自らを厳しく戒めるべき指摘だと思います。風通し良く、当事者が主体的に主張できる場であること。
でも、そのために具体的にどうすればよいのか。なかなか難しいところです。うちでもいろいろトライしていますが、うまくいくことばっかりではありません。よそでもそれぞれの現場で工夫していますが。まだまだ障害者に対して排他的な空気を感じることの多い世の中で、孤立せず、外の目を入れることを自助努力のみによって実現するのは簡単ではありません。また、施設が(規模の程度に差はあれ)『集団』としての場である(あらざるを得ない)限り、個人の自由闊達さを万全に実現することも同様に簡単ではありません。
もちろんどちらも、努力を怠ってはならないし、現状を無批判に肯定する材料にしてはなりません。
ただ、すくなくとも市から施設の社会化や当事者主体を実現するための具体的な指針やヒントになるような指導をしていただいたことはないような気がします。指導というなら、このような問題が起こった時ばかりではなく、小規模で不安定な現場が安心できるような指導もしてほしいものです。ついでに言えば、補助金も先の述べたハード面の整備や充分な人的態勢に足る額ではないのが現状。
重ねがさね、この記事に取り上げられた件を正当化しようとしているわけではありません。あってはならないことだと思います。ただ、記事を読むだけだと『資質を欠いた職員が起こしたこと』ということで終わってしまいそうな気がします。もう少し、その背景に構造的な要因があるかもしれないぞ、という視点が必要ではないかな、と。
ちなみに、うちでは調子に乗ったスタッフをメンバーが制止することのほうが多いです・・・



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